
ビジネスメールの書き方とは?基本ルール・マナー・例文を紹介

初めてビジネスメールを送ることになり、「何をどう書けばいいか分からない」と悩む方もいるでしょう。
ビジネスメールは、プライベートで使用しているSNSやメッセンジャーツールなどとは書き方が異なるため、正しいルールを理解して作成しなければ相手に不信感を与えかねません。
そこで本記事では、ビジネスメールの基本の書き方を、文例を交えて詳しく解説します。
目次
ビジネスメールの基本

ビジネスメールには基本となるさまざまなルールが存在します。まずは、なぜ基本ルールに従うことが大切なのか、プライベートメールやメッセンジャーアプリとは具体的にどのような点が異なるのか解説します。
ビジネスメールの基本ルールが大切な理由
ビジネスメールは業務依頼やアポイントの調整、お礼、クレーム対応、資料などのやり取りと、ビジネスの幅広い面で活用されます。どの場面でも、基本ルールに沿ったメールを送ることが欠かせません。理由としては以下が挙げられます。
● 失礼にならないようにするため
● 誤解のないよう伝えるため
● 情報伝達をスムーズにするため
● 情報の重要度を分かりやすくするため
ビジネスメールは、たとえ自分の名前で送るメールでも「企業の一員」として送っているという責任が伴います。誰が書いても失礼がなく、誤解のない文面を作成するためには、基本的なルールが重宝されます。また、内容が分かりやすく書かれていれば、情報の伝達がスムーズになるだけでなく、相手がメールを見て重要度を判断する際にも役立ちます。
プライベートメールやメッセンジャーアプリとの違い
プライベートメールやメッセンジャーアプリは、一般的に自由な形式で書かれています。個人間での連絡に使われることが多いため、文頭に宛名を書いたり、文末に署名したりする必要がないのもビジネスメールとは異なる点です。親密さや関係性にもよりますが、言葉選びや表現方法も自由に変化し、絵文字を使うこともあるでしょう。
一方、ビジネスメールは「責任を持って情報を正しく伝える」ためのツールです。プライベートメールやメッセンジャーアプリは「コミュニケーションを楽しむ」側面の強いツール、と考えると分かりやすいかもしれません。
ビジネスメールの構成

ビジネスメールは基本的に、「宛先(メールアドレス)」「件名」「宛名」「書き出し」「本文」「締め」「署名」の流れで構成されます。
分かりやすい件名を設置し、先方の宛名、あいさつなどの書き出し文、本文、そして締めのあいさつを入れ、氏名、部署名、会社名、住所、電話番号などの署名を書き入れます。
これがビジネスメールのテンプレートです。送信先や内容が変わっても、必ず書くものとして覚えておきましょう。
ビジネスメールの各パートの書き方・文章作成のポイント

ここからは、ビジネスメールの各パートの書き方や文章作成のポイントを詳しく解説します。
件名
「件名」はどういった内容のメールかを端的に示すものです。メールを受け取る側は件名を見て重要度を判断することも多いため、内容を端的に表現した分かりやすい件名にすることが大切です。
メインの用件を件名の冒頭に置き、その後にさらに詳しい内容や、自分の名前などを含めると開封してもらいやすくなります。
<文例>
● 【○○○(商品名)お見積りのご案内】△△株式会社 ○○(自分の名前)
● 【担当者変更のごあいさつ】△△株式会社 〇〇(自分の名前)
● ○月○日のアポイントについて確認と資料送付のご案内
● ○○株式会社|ご質問の回答について
宛名
宛名は本文の冒頭に設置する重要なパートです。
社外宛の場合は以下を基本に書きましょう。
会社名+部署名+役職名+名前(フルネーム、不明な場合は名字だけでも可)+様
<文例>
○○株式会社
営業部
部長
□□□□様
社内宛メールの場合は、以下の形式を基本として書きます。
<文例>
人事部
□□課長(または□□様)
社内とはいえ、ビジネスメールを送る際はきちんと宛名を書くことを心掛けましょう。
書き出し
本文の「書き出し(冒頭)」には挨拶文と、自分の名前を書きましょう。人と会ったときにまずあいさつするのが当たり前のように、メールの文頭にも挨拶文は欠かせません。
基本的には以下の形式で記載します。
挨拶文+自分の会社名・部署名・名前(フルネームが望ましい)
<文例・初めて送る相手の場合>
● 初めてご連絡させていただきます。△△株式会社企画部の○○○○と申します。
● 突然のメールにて失礼いたします。△△株式会社営業部の○○○○と申します。
● □□様、はじめまして。先日の展示会でお名刺をいただきました△△株式会社マーケティング部の○○○○と申します。
<文例・久しぶりに連絡する相手の場合>
● 大変ご無沙汰しております。△△株式会社企画部の○○○○でございます。
● 長らくご連絡できずに申し訳ございません。△△株式会社営業部の○○○○です。
「ご無沙汰しています」などの言葉は、2~3ヶ月程度連絡を取っていない場合に使用しましょう。それ以上長い場合は「大変」などをつけると、より丁寧な印象になります。
<文例・頻繁に連絡している相手の場合>
● いつもお世話になっております。△△株式会社営業部の○○です。
● 平素より大変お世話になっております。△△株式会社経理部の○○でございます。
● 日頃よりお世話になっております。△△株式会社企画部の○○です。
いつも連絡を取り合っている相手であれば、自分の名前は名字だけでも問題ありません。ただし会社名や部署は忘れず記載しておきましょう。名前だけでは個人メールのように見えて失礼ですし、別の会社の同じ名字の方と取り引きしている場合混乱の原因になります。
本文
本文はできるだけ簡潔に、分かりやすく書くことが大切です。文章を整理するのに有効な「5W2H」を活用してみるのもよいでしょう。
● Who(誰が)
● What(何を)
● When(いつ)
● Where(どこで)
● Why(なぜ)
● How(どうやって)
● How much(いくら)
全て含める必要はありませんが、これに当てはめながら書くと抜け漏れなく簡潔にまとめやすくなります。箇条書きを活用するのも有効な方法です。
<文例>
先日、山田様からご依頼いただきました、弊社サービスのお見積りをお送りいたします。ご選択いただいたオプションやサービス内容に間違いがないか、あわせてご確認ください。
また山田様がご懸念されておりました導入の流れなどに関しましては、直接現場を確認しながらご説明させていただければと存じます。お忙しいところ恐縮ではございますが、下記の日程で30分~1時間程度のお時間をいただけますでしょうか。
【候補日時】
・6月10日(木)14:00~15:00
・6月11日(金)10:00~11:00
・6月15日(火)15:00~16:00
締め
締めの文章は、いわば退席する際のあいさつのようなものです。気持ちよく読み終えてもらうためにも、礼儀として忘れずに書くようにしましょう。
<文例>
● 名前
● 部署名
● 会社名
● 部署名
● 郵便番号
● 住所
● 電話番号
● メールアドレス など
直接連絡可能な携帯番号やメールアドレスを伝える必要がある場合は、自分の名前や部署名の後に記載しましょう。
知っておきたいメール機能・用語

ビジネスメールを送信する際に覚えておくと便利な、機能や用語を紹介します。
CcとBccの違いと適切な使い分け
ビジネスメールでは「Cc」と「Bcc」の使い分けが重要です。「Cc」とはカーボン・コピーの略で、「複写を送りたい相手に送る」機能のことです。「To」で送る相手以外にメールの内容を共有する必要がある場合、便利に利用できます。
一方「Bcc」はブラインド・カーボン・コピーの略で、一斉にメールを送りたいものの誰に送ったかを知らせたくない場合に使います。ToやCcだと送信者名(アドレス)が全て表示されます。しかしBccなら表示されることはありません。
Bccを使用する際は「一斉送信のためBccで失礼します」と文頭に記載しておくと丁寧です。
返信・転送の違い
メールソフトには一般的に「返信」と「転送」の機能があります。「返信」は宛先元の差出人にそのまま返信できる機能です。Ccに入っている差出人にも返信が届きます。「転送」は宛先やCcにも入っていない、別の相手に送信できる機能です。
一般的に返信では添付ファイルは送りかえされることはありませんが、転送では添付ファイルも一緒に送信されます。
添付ファイルの使い方と注意点
ビジネスメールでファイルを添付する場合は、その旨を記載するようにしましょう。もし送信がうまくいかなかった場合でも、相手に気づいてもらいやすくなります。また、再送信などの負担を減らすために、以下の点に注意しましょう。
ファイルサイズと形式
WindowsとMacなど、送信者と受信者でOSが異なると開けないファイル形式があります。ファイルが開けないと相手に迷惑をかけるため、できるだけ相互性の高いファイル形式で送信するよう心掛けましょう。
例えば圧縮ファイルならzip形式がおすすめです。テキストやデータ、資料を送るならtxt、csv、pdfなどがよいでしょう。
パスワード付き添付ファイル
重要なファイルは、ロックをかけて送信する方法があります。開封にはパスワードが必要ですが、ファイルとパスワードを同じメールで送ると、セキュリティ上意味をなしません。
ファイルを添付したメールにパスワードは別メールで送る旨を一言入れ、パスワードを記載したメールを後から送信しましょう。
ビジネスメールを送る際の注意点

ビジネスメールの基本のルール以外で、ビジネスパーソンとして覚えておくべきメール送信時の注意点を解説します。
送り先や名前に間違いはないか
送り先や名前は、送信前に何度も確認しましょう。大事な取引内容が記載されたメールを、別の取引先などに送信してしまっては大変です。
また、Bccで送るべき相手をCcに入れてしまうなど、伏せるべき個人情報を多数に知らせてしまうことになれば、信用問題に関わります。
相手の名前を間違うことも、大変失礼にあたります。企業の一員としてビジネスメールを送っているのだと気を引き締め、送信前には送り先や名前をもう一度確認する癖をつけましょう。
本文の誤字脱字や敬語の間違い
文面の中に誤字や脱字、敬語の間違いがないかもよく確認しましょう。よくある敬語の間違いに「二重敬語」があります。二重敬語とは敬語表現が二つ重なっている言葉のことです。代表的なものには以下があります。
よくある二重敬語 |
理由 |
正しい表現 |
ご覧になられる |
「ご」「~られる」はいずれも尊敬語 |
ご覧になる |
伺わせていただきます |
行くの謙譲語である「伺う」に謙譲語の「いただきます」がつけられている |
伺います |
各位様 |
各位は皆様の意味 |
各位 |
部長様 |
役職名には敬称の意味が含まれている |
○○部長または部長○○様 |
敬語の間違いや過剰な敬語表現は、相手に不快感を与えることもあります。正しい敬語はビジネスのどの場面でも役立つので、あらためて学習してみるのもよいでしょう。
メールの使いまわしはNG、テンプレートを活用する
よく使う文面がある場合でも、過去に送信したメールの使いまわしはやめましょう。コピー元の宛名や名前を残したまま送信してしまう危険性があるからです。
このような場合は、テンプレートを用意しておくと便利です。相手の名前や商品名、日時など、その時々で変わる部分を空白にしておけば、ミスすることなく活用できます。
メールと電話の使い分け
メールは情報を正確に伝えるためにとても便利なツールです。「言った、言わない」に代表される、認識の違いによるトラブルを回避するのにも役立つでしょう。
とはいえ、メールはいつ見てもらえるか分からない点がデメリットです。急ぎの連絡が必要な場合はメールにこだわらず、スムーズな連絡が取りやすい電話やチャットツールなどを使用しましょう。
状況にあわせて柔軟にツールを使い分けることも、ビジネスで円滑に連絡を取るための大切なポイントです。
シーン別ビジネスメール例文集

ここからは、いくつかのシーンごとにメール文例を紹介します。
初めての相手に送るメール
初めての相手にメールを送る際は自分の素性と目的を明確にすることと、丁寧に書くことに重点をおきましょう。
件名:【ごあいさつ】本日付で担当となります鈴木一郎です ○○株式会社 |
お礼・感謝を伝えるメール
お礼・感謝のメールには、謝意だけでなく今後の意欲なども含めて書くとより印象良く伝わります。
件名:【お礼】本日のプレゼンテーションについて|株式会社△△佐藤 株式会社○○ |
※氏名・会社名などの署名は省略しています。
依頼・お願いメール
何かを依頼するメールは、まず相手へ感謝を伝え、依頼内容を簡潔にまとめるのがポイントです。
件名:リサーチデータ提供のご依頼|株式会社△△佐藤 株式会社〇〇 |
※氏名・会社名などの署名は省略しています。
謝罪・お詫びメール
謝罪メールは誠心誠意謝意を伝えるだけでなく、今後の対応、改善策を添えた内容にすることが重要です。
件名:商品発送の誤りについてのお詫びと対応|株式会社△△佐藤 株式会社○○ |
※氏名・会社名などの署名は省略しています。
質問メール
質問メールは内容を簡潔にまとめるのがポイントです。
件名:【ご質問】モデルAの納期について ○○株式会社 |
※氏名・会社名などの署名は省略しています。
送信前のチェックリスト
ビジネスメールの不備は、取引先からの不安や信頼関係を損なう原因になりかねません。誤りがないか、送信前に以下のリストを参考にチェックしましょう。
To、Cc、Bccの宛先は合っているか |
|
メールアドレスに間違いはないか |
|
件名で内容や用件が理解できるか |
|
本文に誤字脱字はないか |
|
宛名、あいさつ、名乗り、締め、署名は適切か |
|
用件は分かりやすく、誰にでも分かるように書かれているか |
|
添付ファイルはあるか、内容は正しいか、相手が開ける形式・サイズか |
|
ファイル添付の旨は記載したか |
まとめ
ビジネスメールの書き方を知っておくことは、ビジネスを円滑に進めるために欠かせません。ビジネスメールの基本、言葉遣いなどに注意し、簡潔で抜け漏れのない文面を作成しましょう。送信前にはチェックリストの内容を確認し、間違いがないかチェックしてみてください。
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<ライタープロフィール>
筆弓あかり
子育てと介護のダブルケアと仕事の両立に悩みながら、ライターとして活動中。美容、転職、介護を中心にさまざまなメディアの記事執筆、ディレクションを担当。転職、採用・人事、法律メディアで編集業務に携わる。「働き方」「仕事の選び方」「ライフスタイル」「美容」に強みを持ち、幅広いビジネスパーソンに向けて発信を続けている(編集:株式会社となりの編プロ)。